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薄暗い廊下を抜けて部屋の扉を閉め、鍵をかけるなり2人は獣のようにお互いを抱きしめた。まるでバトルのようだ。どちらが先に相手を感じさせて勝利するのか、それほど激しく体を締め付けていく。ワンピース越しに感じた彼女の乳房はこのまま潰れて弾けてしまいそうなほど柔らかく、熱があった。腕、うなじ、それらに触れても同じような熱がある。人間の体内、7割を占めるものが水なのだとしたら、今2人の体内は7割の熱湯が煮え滾っているのだろう。 ワンピースの裾を弄って中に手を滑り込ませる。彼女の大腿部には薄い肉が施されており、美希とは違った感触だった。決してスリムとは言えないが、程良い肉付きが心地良い。佳奈恵は既にぐっしょりと濡らしているようだった。ショーツがまるで水を垂らしたティッシュのようで、千切れてしまいそうなほど愛液が染みている。智哉は高熱が宿る肉樹を彼女の腹に押さえ付けながら、佳奈恵の胸に手を伸ばした。このまま地面に落ちていきそうなほど柔らかな乳房を蹂躙していく。互いの喘ぐ声を塞ぐかのように唇を重ねた。 ジーンズの前で主張するペニスを、布越しに撫でる佳奈恵は慣れた手つきでファスナーを下ろした。ボクサーパンツに縛られた智哉自身が解放され、佳奈恵の指先で踊る。美希と違って華奢ではない指も心地良かった。どこかぷっくりとした指が肉の柔らかな感触を敏感な箇所に、まるでミサイルのように落としていく。美希とのセックスでは彼女が先に求めるために愛撫が短く、手で刺激される快感が久しく思えた。 「ねぇ、もう挿れよう。結構限界。」 唇を離すと、佳奈恵は汗を顔の表面に垂らしていた。その奥で赤く染まった頬が彼女の高揚感を表している。智哉自身も汗ばんでいた。Tシャツが肌にへばりついて居心地が悪い。しかしそれ以上に佳奈恵の体が魅力的であったために、智哉は片手でTシャツを脱ぎながら、もう片方の手で彼女の裾をまくった。汗でしっとりと湿る、大きな桃の真ん中にショーツの線があった。まるでショーツを中に埋め込むかのように大きな尻を掻き分け、しゃがみこんだ智哉は鼻先を中に埋めた。 「待って、汚いから。あっ。」 下着屋などで見たら美しく、綺麗な下着なのだろう。しかし今この現状においては、喉から手が出るほど欲しい彼女の秘部をより際立たせる装飾品に過ぎない。真っ白なレース素材の脇から陰毛にまみれた小陰唇が覗いている。白い下着に薄いグレーの染みがより高揚させた。 クロッチの部分をずらして佳奈恵の蜜壺に口をつけた。どこか酸味を感じる風味に、むわっとした汗の匂い。普段なら鼻につく嫌な香りだが、今夜に関しては打って付けの香水だ。幾重にも段層を見せる赤黒い膣に舌先を宛がって、佳奈恵自身の味を知る。ジーンズとボクサーパンツを脱いで全裸になった智哉は、ラブホテルに入る前に予めポケットに入れておいたコンドームの小袋を手に取った。 「早く、早く来て。」 扉の脇にある全身鏡に手を置いて尻を突き出す佳奈恵の言葉に、智哉は立ち上がった。薄いビニールの避妊具を装着し、先端を鍾乳洞の入り口へ運んでいく。勢いよく押し進めると全身が痺れたような感覚に陥った。 「すごい、智哉…こんなに大きいのね。」 何故か人間は体の一部を褒められるだけで気分が良くなる。クロッチを大きくずらして尻に引っ掛け、腰回りを支えながら結合部に指を置いた。波を送ってペニスを抜き差しする、それだけの動作が2人を完全な獣にしてくれた。 最低限の言葉だけを交わし、がむしゃらに性行為を続けていく。その時智哉は、美希とのセックスが作業のように思えた。風呂場から上がって寝室に待機している美希、まともな愛撫もなくすぐさま挿入する、だからこそ今感情に突き動かされて行うセックスがひどく魅力的だった。自分はこれほどまで自分自身に酔えるのか。 真っ白な肌の真ん中で赤と黒が混じる花弁が肉樹を呑み込み、涎を垂らしながら啜っていく。悪魔に魂を吸い取られているようだ。腰を打ち付ける度に淫らな水の音が響き渡る。ラブホテルに入り、2人はベッドに向かうことなくお互いを知った。 「ダメ、いっちゃう。いくっ。」 その言葉に慌てて、智哉は手を内側に忍ばせた。蜜壺の穴をすっぽりと埋める肉樹が、規則的な運動によって愛液を零す。指を伸ばした先には雌蕊があった。皮から剥がれた陰核を2本指でつまみ、まるで指の腹についた埃や汚れを散らすように刺激する。佳奈恵は2つの刺激ですぐに絶頂を迎えた。 背中を反らして天井を仰ぐ姿が鏡に映る。ワンピースの奥で汗に光る乳房が垂れ下がっていて、足をぱっくりと広げた見えない箇所に、今自分は秘部と秘部を共有している。新たに加わった光景は、佳奈恵の薄い尿だった。炭酸が迸るような音が小さく聞こえ、黒いカーペットに染みを描く。マッサージ機に刺激を与えられているかのように震えながら、彼女は潮を吹いた。 「これ、やばいね。セックスで死んじゃうかもよ。」 冗談めいた声色でこちらを見ながらそう言う佳奈恵は、まだ物足りなさそうな目だった。
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