えんよーと陽と優

塾で仕事

「陽、田水としゃべるんだ…」

「普通だよ」

「…高校での陽を知らないからなぁ…いつもしゃべってたんだな」

「勉強見てくれてたよ」

「で、田水って大学行ってないの？仕事って？」

「田水は家の仕事をやってるよ。いずれ社長になるんだ」

「は…？」

「髪型とか、眼鏡とか学生のときは家の決まり事があったけど、今はどうしてるかな？」

「…あれは趣味じゃなくて？」

「違うから。田水は家の仕事継ぐために、普通に勉強してたんだよ。しきたりは守りたいらしいから」

「田水のこと、知らなかった」

そもそも、陽は中学のときより仲良くなってないか？田水なんて隅っこにいる、だっさいやつだと思ってたから。

「友達になりたい？」

「いや、あっちはあんまり望んでなさそうだしいいよ」

「そ？凛ちゃんとは？」

「いや、いい。竹崎(たけざき)は元気なわけ？」

「元気だよ」

「遠距離で付き合ってるってこと？」

「そーだね。凛ちゃんめちゃがさつだし、俺は彼女にするとかありえないけど、竹崎くんはそれでも好きなんだな。何しても怒らなさそう」

「いつまで続くんだろうな」

「さー？」

陽にとっては、田水のほうが友達のようだ。