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私は教室の窓際の席から校庭を見下ろしていた。
今日は朝からずっと雨だ。
今日の陸上部の練習は休みだろう。
部活のない日は退屈でつまらない。
私は雨の日が大嫌いだ。
「理沙、どうしたの?
憂うつそうな顔してるよ」
清美が話しかけてきたのに気づいた私は、声がした方に目を向けた。
「すごい雨が降ってるんだもん。
これじゃ、今日の部活は中止だよ」
「理沙は本当に部活が好きだよね。
陸上部の練習ってそんなに楽しいの?」
「楽しいよ。
それにさ、私から陸上を取ったらただの落ちこぼれな女子高生だよ」
「あっ、言えてる!」
「ひどいよ、清美。
ちょっとはフォローしてくれなくちゃ」
「ごめん、ごめん。
言い過ぎたよ」
清美はそう言って笑ったあとに、私の顔をのぞき込んだ。
「でもさぁ、雨の日がそんなに嫌いだと、『雨の日の雨子さん』に呪われちゃうよ。
雨が降りやまない日は、雨子さんが出るんだからね」
「『雨の日の雨子さん』?
それって何?」
私がそう言うと、清美はうれしそうに話を続けた。
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