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「『雨の日の雨子さん』はね、いじめを苦にして、雨の日にトラックの前に飛び出して自殺した女子高生の幽霊だよ。
雨子さんは暗い性格でみんなに嫌われていたんだけど、そんな雨子さんは雨の日になると特にいじめられたの。
雨が降るのは雨子のせいだって。
だからね、雨子さんは雨の日が大嫌いなんだよ」
「そうなんだ。
そんな理由があるなら、雨の日も嫌いになるよね」
「でね、今日みたいな雨がやまない日に、雨子さんの幽霊は現れるの。
幸せそうな女子高生を呪うために」
「それってさ、都市伝説的なやつでしょ。
雨子さんなんて本当はいないよ」
「理沙はノリが悪いよね。
雨子さんは本当にいるんだよ」
「わかったよ。
清美はそういう話が好きだよね」
「もちろん。
それじゃ、話の続きね」
清美はそう言って微笑んだ。
清美は本当に都市伝説の類いが大好きだ。
「『雨の日の雨子さん』が現れるのには二つの条件があるんだよ。
一つはやまない雨の中を一人で歩っていること。
もう一つは『雨って本当に嫌だなぁ』って、つぶやくこと。
この二つの条件を満たすと、後ろに雨子さんが現れて、話しかけてくるんだよ。
『あなたは雨の日が嫌いなの?』って。
それでその声に振り返ると……」
清美が都市伝説のクライマックスを話そうとしたとき、担任の北村先生が教室に入ってきた。
「あっ、北村先生が来ちゃった。
この話の続きはまたあとでね」
清美は北村先生を見ると、もうホームルームが始まる時間だと気づいて、自分の席へと戻っていった。
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