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放課後、部活は雨のため中止になり、私は自宅までの道を傘をさして歩いていた。
車の往来が激しいこの道路は、車が水溜まりの水を跳ねてきたりするから本当に困る。
こんな日くらい車のスピードを落として、水が跳ねないようにすればいいのに。
やっぱり私は雨の日が嫌いだ。
私はそんなことを考えながら、今日、清美から聞いた『雨の日の雨子さん』の話を思い出していた。
(雨子さんも雨の日が嫌いだったんだよね。
雨が降るのは雨子のせいだっていう言い分はさすがに理不尽だと私も思うよ。
名前が雨子だっていうだけなのに……)
私はそんなことを思った後に、清美に教えてもらったあのセリフをつぶやいてみた。
「雨って本当に嫌だなぁ」
私は基本的に都市伝説の類いを信じない。
それは誰かが誰かを怖がらせるための作り話だと思うから。
私は少しだけ本当に雨子さんが出てくるのを期待していたけど、やっぱり雨子さんは出てこない。
そうだよね。
雨子さんなんているはずがないんだから……。
私がそう思って微笑んだとき、私の後ろから女の不気味な声が聞こえてきた。
「あなたは雨の日が嫌いなの?」
私は聞こえてきたそのセリフにドキドキしていた。
もしかして、私の後ろに雨子さんがいるのかもって……。
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