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Epilogue
桜を見た帰り
駅のホームでは、白地に赤いラインの入った特急電車がゆっくりと滑り込んで来て、停車した
私の地元も走るその特急電車は、いつも「浅草」って記されていて
その文字を見上げる度に
その電車が踏切を通過する度に、思っていた
私もいつか、東京に行きたいと
今、私は
その東京で生きている
田舎にいた頃、私の欲しかったもの総てを手に入れた場所
それは儚いけれど
私が存在する限り、それは輝き続ける
夢はなくならない
夢を叶えた先には
また新たな夢が広がっているんだ
次に来た電車は
私が生まれた田舎町まで続く、私鉄の鈍行
緑色の座席に
ノスタルジックを感じる車内
行き先は
私の故郷とは反対方向
進む道は、未来
でも過去があったから、未来がある
未来は過去と地続きだ
この線路のように
車内は田舎にいた頃と同じで
相変わらず人もまばら
その感じも懐かしくて
隣にいる君の横顔を見たら
高校の時に見た君と重なった
一緒の通学路で、電車の中で、電車を待っている間
君の横顔を、私は一番見ていたからだ
見た目は同じとは言えないけど
あの頃と一緒で、なんだか笑えた
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