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処刑の前日の夜半、半魚人と化した魔女が魔法の箒に乗って空を飛びながら匂いを嗅ぎ分け、元人魚が監禁された牢屋がある塔にやって来ました。
鉄格子の窓から、ちょっとちょっとと声がしますので元人魚はそっちへ目をやると、魔女の顔が見えました。
「ちょっとこっちに来てくれない。」と魔女が言いますので元人魚は鉄格子の窓に近づきました。
そこで魔女は魔法の杖を鉄格子の間に差し込んで元人魚の下半身を杖の先で突き、自分の下半身も突きました。
すると、下半身が入れ替わって元人魚は元通り人魚になり、魔女も元通りの姿になりました。
「私はあんたの国の王子に振られたんで腹いせに王子を殺して元通りの姿に戻ろうとここへやって来たのさ。さてと、箒に乗りやすくなったことだし、憂さ晴らしに大空を飛び回ることにしよっかな!」と魔女は言うや、飛び去ってしまいました。
残された人魚は鉄格子から射し込む月明かりに照らされた下半身の鱗を見て希望の光のように思いました。
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