必ず猫がやってくる話

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必ず猫がやってくる話

 これは、私の実家の話だ。  私の実家はド田舎の山奥。  野生動物がわんさかいる。  ホーホーって夜には聞こえるし、バウバウ、グルルル、ぎゃしゃー! て毎年毎夜大合唱。  狐も狸も出てくる。トト○みたいな大木もいたるところにある。  あ、作品の舞台とは関係のない地方です。  ともあれ。  自然豊かな場所だ。  人が少なくて怖いけども。  さて、通年困っていることがある。  捨て猫だ。山に猫を置いていくヒトがいる。  父は動物優しいため、二度追い払っても居座る場合は飼ってしまう。  だからウチは、私が生まれる前からすでに猫が何にゃんもいた。  匹は失礼だから、にゃんと数えている。家族全員がそうだ。  山には私たち以外の人も数世帯暮らしている。  細かいところが綺麗好きの下向いさん、頑固家族の谷隣さん。夜中に乱闘する畑隣さん、がお隣さんなのに穏和な林隣さん……。  ウチの家族もだが、みな個性的な家庭ばかりが集まった、ちょっと浮いた部落だった。  けれど、猫たちは真っ先にウチにやってくる。  下向いさんの家や他の家を全て無視して、一番山奥のウチに来るのだ。  彼らは猫を追い払うことはしていない。  それなのに、ウチに、来るのだ。  母がどんなに追い払っても、  先住にゃんがどんなに威嚇しても。  ウチに住みつくのだ。
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