幽霊に嫌われる子の話1

1/1
前へ
/77ページ
次へ

幽霊に嫌われる子の話1

 これは、私が大学生時代のころの話だ。  同じ学科に、影がぼうっとした子がいた。  暗いとか陰湿とかじゃなく、なんというか……体の輪郭みたいなのがぼやけてみえる子だ。時々、くっきり二重に見えることもあった。  同じ寮で生活していたから、話す回数は多かった。  その子と夕飯を一緒に食べていた時、  「今日ね、モールのエレベーターで子どもの幽霊みちゃった」  と、タヌキ発見したくらいのノリで言ってきた。怖かった。  「でも私みたら逃げちゃった」  彼女がケラケラ笑うので、私は聞いても大丈夫だろうと高をくくり、  「どうして?」  と聞いてしまった。  すると、  「私、あいつらに嫌われやすいの」  今度はどうして、が続かなかった。  彼女の目は笑っていなかった。
/77ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25人が本棚に入れています
本棚に追加