連れていかれそうになる話

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連れていかれそうになる話

 これは、私が十歳くらいの出来事だ。  夢の中で姉たちが家の畑を耕していた。  うちは農家だから、普通のことだ。  私も手伝おうと思った。  けれど、どこからともなく母があらわれて、私の行手を阻む。  母はこう言った。  「アナタはしなくていい。こっちに来なさい」  あ、そうなんだ? と納得しかけたが、玉のような汗をかいている姉をみて、罪悪感がわいた。  「私もあっちで働いてくる」  そう告げると、母の顔が変形し、  阿修羅(あしゅら)みたいなのになった。  「じゃあ、苦しんでこい。死ぬまで働くことになるがな」  夢はそこで途切れた。  ついていく、と言えばどうなっていたんだろう。  
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