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6 変遷
狼波の容姿が大理石の彫刻のように美しいことが幸いした。
慈悲深い笑みを浮かべるなどしないほうがよっぽど厳かで、俗世と一線を画した存在感を誇示できる。
容姿同様冷酷な声音はどういう加減か神気を伴い、神に捧げる深誓の詞が肉体と精神を直に穿つようだと皆が言う。
絢爛豪華な法衣を纏い、狼波は披露の儀で完璧に天使を演じた。
当日の参列者から天使の風聞が広まると、以降の朝拝と夕拝は礼拝堂に収容しきれない程の参拝者が訪れた。
狼波は休みなく全てを執り行い、一層評価が跳ね上がる。
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