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風呂敷の結びを解くと・・・
わずかな着替え
ノート一冊
懐中時計
ノートには恨みがましい言葉などなく
何頁も紫蘭の鉛筆画が・・・。
「馴れん廓で食も細うなってた
とこへ、客から悪い風邪を
うつされて・・・
みるみる痩せて・・・」
ギシギシと胸の骨まで軋む・・・。
「寝かされてた部屋の小窓の下、
日蔭に紫蘭が咲いておったそうで
体の具合がエエ日には鉛筆で
描いておられるのが見えたと
若ぼんが言うておられました」
か細くも蕾から花開いて
・・・枯れゆくまでを数頁、
そして
「これ・・・」
晶子さんが震える声で
眼を逸らしたのは
僕の似顔絵、
何頁も何十頁も・・・。
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