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「汽車の時間まで
ゆっくりされたら
よろしいわ」
寺を辞してから
女将の店の二階に案内された。
「夜行列車の時間までには
将吉さんもここへ来ると
言うてました」
晶子さんが簡単に座布団を並べて
「横になっててください」
階下へ・・・・。
寝転んだ隣に響子・・・、
美しい紫の風呂敷の中に。
「紫蘭の絵を見せてもろうて
思い出しましたから」
チリメンの紫は紫蘭の色。
「旦那様といく道行きやもの、
洒落て帰らんと、ね」
さっき店に着くなり女将が
丁寧に纏わせてくれたのだ。
そこへ僕は銀のブローチを留めた。
最後に見た響子の笑顔を
思い浮かべながら・・・。
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