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「不思議だね。健二が告白してくれたときはすぐに晴れたのに、全然晴れないや。」
言葉が出なかった。なんと言えば正解なのか、間違いなのかわからなかった。
彼女は数秒下を向いたあと、吹っ切れたような笑顔を見せ、「じゃあね」と一言だけ残して去っていった。
思わず引き留めようと追いかけ、彼女の腕をつかもうとする
「えっ」
掴めなかった。すり抜けたような感覚だった。
彼女は振り向き、こっちを向いて少し困ったような、それでいて笑っているような表情を見せた。
「だめ。もうだめなの。これ以上は。」
そう言ってまた去っていく彼女を見送ることしかできなかった。
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