暗がり列車

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(駅員のアナウンスどころか、物音一つしない。この列車には俺以外の客もいたが、誰も騒がないのはなぜだ?)  しかも、先程の急停車で停電が起こったのか部屋の照明も沈黙してしまい、久藤は静寂と暗闇に支配された空間にたった一人放り投げられた。  10年記者を経験し、一般人よりも胆力があると自負している傷持ちの男ですら、この状況は堪えた。何か行動しなければ。待っていても(らち)があかないと、部屋の扉に手をかけた、その時だった。
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