暗がり列車

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「...っ!」  再びあの赤い手が窓に張り付き始めた様子を確認した久藤は、すぐさまスマホの灯りを消した。赤い手の姿は暗闇に溶け、同時にけたたましく窓を叩く音も消えた。久藤の仮説は、確信に変わった。 「...だ。奴らは光に反応して現れるんだ。だが逆を返せば、光さえなければ出てくることはない」  赤い手の習性をなんとなく理解した久藤は、スマホの灯りを窓の外に向けないよう注意しつつ、ゆっくりと立ち上がった。依然として、この状況は変わらない。外には得体の知れないものがいる。彼はまず、列車の中を調べる事にした。 (最も気がかりなのは、さっき叫び声が聞こえてきた方だ。あの声は車両の後方から聞こえてきた。そこに何がいるのか分からないが、確かめておきたい)  
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