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確かにそれは最初人の形をしていた。
だがそいつは、その体を意味もなくグネグネと動かし辺りに水滴と思わしきものを撒き散らしていた。
そしてこちらに気がついたのか、その怪人はふらふらとした動きでぴちゃ、ぴちゃと不愉快な水音を立ててこちらへと向かってくる。
漸く光の当たる位置までたどり着いたそいつには、明らかな異常があった。
人だと思っていたその生物には顔というものが存在せず、黒く染まった粘着質な水のような液体の塊であり、視界など無いはずなのに、確かにこちらへ目を向けていたのだ。
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