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(う、おおお...!!)
先程の赤い手とは形態の異なる異形を目の当たりにした久藤は、心の中で驚愕の声を上げる。
不定形の異形が放つ粘ついた水音は、一度耳に入ると鼓膜の中に染み込み、いつまでも不快な音を脳髄に響かせた。苦悩の表情を浮かべる久藤は中指を耳の穴に突っ込んだが、その音から逃れることが出来ない。
それに加え、ガチガチと震える歯が噛み合う音が重なり、久藤の脳内に名状し難いハーモニーが奏でられた。
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