暗がり列車

31/86

17人が本棚に入れています
本棚に追加
/86ページ
 壁に頭を叩きつけた回数が2桁に到達する頃、久藤は漸く我に返った。 「はぁ...はぁ...。あ、あいつは?」  久藤は息も絶え絶えになりつつ、4両目に(うごめ)く異形の姿を再び確認した。相変わらず不規則形を変えこちらに向かってきているが、その位置は先程からあまり動いていない。  ここに来るまでには、まだ時間がかかりそうな様子だ。 (チクショウ、頭が痛ぇ...。あいつがいる以上、後ろには行けそうにない。前の車両に行こう)
/86ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加