暗がり列車

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(おお...。主よ、感謝します)  固く閉じられた扉を強引に開け2両目へと入った久藤は、少しの違和感を覚えた。この車両は、先程までいた3両目よりもやや涼しく感じるのだ。 「何だ? 空気の流れを感じる様な...!!!?」  その違和感の正体を掴むべく車両全体に光を当てた久藤は、両側の窓が全て事に気付いた。  全身の血の気が引くような感覚を覚えた久藤は、すぐさまスマホの電源を落とし明かりを消した。そのまま(しばら)く動かないでいたが、何かが(あらわ)れる様子は無い。 (ホーリーシット!! 主は俺に試練を与える事を忘れねぇな!!?)  心の中で主へ悪態(あくたい)をつきながら、久藤は暗闇の中、開いている窓を閉めて回った。全ての窓を閉めた久藤は再び明かりを付け車両内を探る。  すると、車両の床に転がっている一冊の本を発見した。
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