暗がり列車

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 連結部から1両目の内部を一通り見回した久藤は、扉を開け素早く中に入った。1両目には、これまでの車両と明確に異なる部分があった。 (車掌(しゃしょう)室..か。あそこなら列車を動かせるかもな)  1両目の先頭、則ちこの寝台列車の先端部には、当然であるが車掌室が設けられていた。そこは木製の分厚い壁と扉に隔てられていたが、これまで同様、扉の小窓から中の様子を覗くことは出来そうだった。 (他に気になるものは......無いな。やはりここを避けては通れないだろう)  久藤はスマホの灯りを小窓にねじ込み、ゆっくりと中の様子を確認する。  そこで彼は、操縦席に座るを視認した。
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