暗がり列車

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 ぞわっ!! っと久藤の背筋の皮が一斉に泡立った。 「も、もう来やがったか!?」  慌てて車掌室の入口の小窓から、1両目の中を覗き見る。()だ、その姿はない。だが確実に近づいている。粘ついた音を撒き散らし、瞳のない眼でこちらを見据えながら。あの化物がこちらへ向かってきている。  試練の時は来た。  ただの人間である久藤は、正体不明の化物を(かわ)して4にたどり着かなければならない。
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