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「奴を...奴を切り抜けなければっ!! 何かないのか!?」
車掌室の棚をやたらめったらに漁る久藤。もう時間はない。音の大きさからして、もう間もなくあの化物はこの1両目に入ってくる。棚から飛び出てくるのは、古い時刻表や列車の案内板、壊れて動かなくなった時計など最早使いようのないものばかりだった。
「ホーリーシット!! この部屋にはもう使えそうなものが.........ない!! せいぜいこの毛布くらいだ!!!」
漸く見つけたものは、人間一人を覆い被せそうな毛布一枚だけだった。それでもないよりはマシだと思った久藤は、毛布を握りしめて車掌室を飛び出す。まだ、奴の姿はない。
何かを仕掛けるなら、今!! この時しかない!!!
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