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(我ながら、非道い話だ...。ある意味ネタになるかもしれない)
「それにしても、いきなりコーヒーぶっかけてなくてもいいんじゃないか?」
未だに芳しい香りを漂わせる手帳を鞄に放り投げ、久藤はもぞもぞと体勢を変えベッドに寝転がる。
ふと、寝台列車の窓に映る自分の顔に目線がいった。ボサボサで不揃いに伸びた清潔感のない髪。ほぼ日課である執筆活動に追われて出来た濃い目のクマ。好き放題に伸びた無精髭。とても見れたものではないと苦笑する。
だが。
それらの要素すら霞む程に圧倒的なシンボルが、その顔に刻まれていた。
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