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結衣。結衣…!
教室のドアを開ける。
「どうしたの…?そんなに慌てて…」
結衣!?何でここに…
そう言いかけて、クラスの視線が俺に向けられている事が分かった。
黙って結衣から離れると、クラスのざわつきが元に戻った。
結衣…えっと…昨日はごめん…
俺は頭を下げる。「そんな。別にいいよ。私の方こそ…ごめんなさい…。」結衣は頭を下げる。
いや、本当にごめん。
俺はもっと頭を下げる。
「別に全然いいよ…。てか、私が嘘付いたせいでこんなことになったんだし…。始めから、君に言うべきだったね…。」
俺は顔をあげる。
えっと…それで、なんで結衣はここに?確か、入院してたはず…もしかして…病気が良くなったとか…!
「あ。えっと…病気は良くなってないけど…実は今日、午前中しか学校に居られないんだ…。」
そっ…か。俺は結衣の顔を見つめる。
あのさ。俺。結衣と過ごせる時間を有効に使いたいって思ってるんだ…。
「え。…?」
今からでもいいから…学校抜け出して、二人でコンビニで買い食いしてみたかったんだよね…いい…かな?
結衣はニッコリと微笑んで「もちろんいいよ…!行こ。」
結衣は俺の手を握る。小さくて暖かい手…俺はぎゅっと結衣の手を強く握る。
「じゃあ行こ…!」
え。今から!?
「え。今からじゃないの…?」俺は結衣から顔をそむける。
いや~…今からって言ったけど…まさか本当に今から行くとは…
「ほらほら、先生来ちゃうよっ!」
結衣は俺の手を引っ張って教室を出る。
俺…財布持ってきてないんだけどっ!?
「別にいいよっ…!私がおごるから…!」
結衣は生き生きとした表情で笑う。
俺は、強く結衣の手を握った。
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