Ep1 新たな生活

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Ep1 新たな生活

 4月。 「お嬢様、もうすぐ着きますよ」  馬車に揺られながらも小窓から外を眺める私に黒と白の服に身を包んだ執事が言う。 「うぅ、緊張するわ…。けれど、召使い1人付き添い可だからイフと一緒にいられるのは嬉しいわ!」  私がそう言うと、執事のイフは優しく笑った。 「緊張されるのも無理はございません。お嬢様が行かれるのはあのアルフェクト学園なのですから」  アルフェクト学園は多くのご令嬢やご令息がお集まりになる由緒正しき全寮制の学び舎。 「ですが、お嬢様は世界三代名家に入る我がエクトヴィア家の名を恥じない素晴らしいお方でございます。御学友もすぐにできるかと思いますよ」  私はイフの言葉に少し恥じらいを感じたが、同時に自分の心が温かくなっていった。 「ええ。頑張るわ、イフ!」  私はイフに微笑み返した。
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