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朝、教室に入る。その途端、へんてこりんな景色が目の前に広がった。
晴れた青空に、虹のかかった空、今にも雨が降りそうな雨雲に、雷がゴロゴロと鳴る不穏な嵐。
これは皆、私のクラスメートたちの頭の上での光景だ。はっきりいって、カオス。意味がわからない。
「おはよー、一華ちゃん!」
「おはよう、咲奈」
クラスで一番仲のいい咲奈が私のところへやってくる。彼女の頭の上には爽やかな青空が広がっていて、ほんわかとした雲がふわふわと浮かんでいる。
「ね、なんか今日、皆ザワザワしてない?」
私が尋ねると、咲奈はきょとんとした顔で首を傾げた。
「うーん、そっかなぁ? ……あぁ、そうだ。一華ちゃんは昨日お休みしてたから知らないだろうけど、今日、転校生が来るんだって」
「転校生?」
「うん。男の子らしいよ?」
私は昨日、貧血がひどくて学校を休んでいたのだ。月に一度のお客様、まったく女子というのは大変だ。
それにしても、こんな時期に転校生とは。そりゃ、皆もソワソワするだろう。
朝からカオスなこの光景に、私はなるほどと納得した。
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