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「どうしたの?そんな顔して」
シチューを皿に盛りながら 問い掛ける。
夫は無意識だったようで、ハッとして私を見た。
「君が怖がるといけないから、黙っておこうと思ったんだけど…」
「いやだ、隠しごとなんてしないでよ」
「実は、夕方から迷惑メールが止まらなくて。ずっと同じ内容が続くんだ。〝ごめんなさい、許して、助けて、苦しい〟…まったく、気味が悪くなるよ」
「憐みの言葉で気を引こうとしているのかしら?でも、こっちが反応しなければ 二、三日で静かになると思うわ。くだらない悪戯はやめて、もっと他に楽しいことを見つければいいのにねぇ」
「…だよな、無視が一番だな」
「そうよ、気にしちゃダメ!さ、晩ご飯の用意が出来ました!」
「絵理香と結婚して良かったよ。君が家の中を明るくしてくれるから、僕も安心していられる」
「…嬉しい。智也くん、私を選んでくれて ありがとう」
私は愛しい夫に笑顔を向けた。
完
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