蜘蛛の巣

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私はさっきまでとは一変して、蜘蛛に対して尊敬の念を抱いていました。彼は狡猾に地形の理を生かして、自身でこさえた巣だけでは飽き足らず、エアコンの内部までも自身の家として利用していたのです。 私は蜘蛛の賢さと生命力に感嘆しました。 私は蜘蛛が消え去った後の蜘蛛の巣を眺め続けました。見事な正六角形に編み込まれた蜘蛛の巣こそ、電車が冬眠している間にあった起きた大きな変化だと私は気づきました。 (蜘蛛さん、いいお家が出来て良かったわね) 私は心の中でそう呟くと、電車を降りました。
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