後編

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後編

「ない⋯⋯ない!嘘!」 部活の後、鞄の中を整理している時にあのノートがないことに気付いた私は必死に記憶の糸を辿る。 そうだ葵ちゃんだ。二人に読まれた後、葵ちゃんが持っていたのを返してもらい忘れた。 急いで葵ちゃんの姿を探すが、もう帰ったらしい。 こうしちゃいられない、取り返さなきゃ。 私は慌てて葵ちゃんの後を追いかける。メッセージを送ってみるも既読が一向につかない為、直接自宅に押しかける事にした。 「⋯⋯どうも。ねえちゃんはまだ帰ってきてませんけど」 「マジか⋯⋯!」 息を切らして葵ちゃんの家にたどり着くと、タイミング良く要君と鉢合わせた。 うちの高校の制服着てる。やっぱり同じ学校に通ってたんだね。 「あ、要君同い年だよね。敬語使わなくていいよ」 「いや⋯⋯こっちの方が話しやすいので」 「そう?」 まあ人との距離感なんて色々あるよね。好きにするといいさ。 それよりもあのノートだよ、ノート。 「ところで、葵ちゃん何時に帰ってくるか聞いてる?」 「いえ。伝言あるなら聞きます」 「まあメッセージにも入れてたんだけど⋯⋯ノート返して下さいって言っといて欲しいの」 「ノート?」 「そう、とある人物を精神的に殺すかもしれないノートを」 「とある人物⋯⋯それって今日仲良さそうにしてたあの人ですか? あの背の高い」 「仲は良くないけど、まあそうだね。昨日の話に出てきた受けのモデルなんだ」 「やっぱり⋯⋯その人の事をモデルに、へえ」 そう言う要君がじっと私を見るから(目は髪で隠れてるけど)、即座に否定した。 「違うの、ちょっとアイツをメス堕ちさせたいだけで」 「え゛」 「いや何ていうかこうね、憎しみとか苛立ちが、ね?」 「憎しみ、なんですか⋯⋯?」 「うう、ちょっと色々ありまして⋯⋯とりあえず私、帰るね。葵ちゃんによろしくお願いします⋯⋯」 「あ、待って」 家に帰ろうとする私を要君は引き止めた。 「?」 「ノートってコレですか?」 そう言って要君が鞄から取り出したのは、私のあのノートだった。 「そ、それぇぇぇ!どうしたの? 何で要君が⁉」 「ねえちゃんが、コレで新刊描けないかって渡してきて」 「馬鹿!葵ちゃんの馬鹿‼⋯⋯読んだ? 読んじゃった?」 「⋯⋯少し」 「あああああ! あのもうホント忘れて下さい」 「でも、ねえちゃん言い出したら聞かないし」 「せめて、せめて納得出来るラスト書いてから⋯⋯」 「書けるんですか?」 要君は私の胸に特大の包丁をさっくり突き立てた。 痛いところをついてきなさる。 「分かりません⋯⋯」 「やっぱり。ラストをどうしたいのか分からなくなってるなって読んでて思ったから」 「かなり読んでるね? 少しってどこまで?」 「まあ、一通りは」 「ひぃぃぃぃ!」 「キャラの関係性と物語の方向性が不一致だなあと思いました。ハッピーエンド目指すなら登場人物の性格をもっと変えた方がいいですね」 「ゔっ」 「⋯⋯そうでないなら、メリーバッドエンドという手もありますけど」 「めりー、ば?」 「メリーバッドエンドです。共依存関係で、二人にとってはハッピーエンドだけどよくよく考えたらバッドエンドじゃないかなっていう終わりの」 「そんな終わり方があるんだ」 「ねえちゃんはメリバ好きじゃないですけど、藤子さんの話はそれ向きな気がします」 「メリーバッドエンド⋯⋯書けるかな。どんなラストなんだろう」 「⋯⋯読みますか? 俺の持ってる奴で良かったら」 「いいの⁉ あれ、要君ってBL好きじゃないんだよね」 「ハイ、だから男女の恋愛とかで良かったら」 「勿論!」 ※ ※ ※ 「えええ、監禁⁉」 「どちらかといえば軟禁ですね」 「というかこれストックホルム症候群じゃ⋯⋯」 「それをロマンチックな物語にしたのがメリバです」 ほう。 ほうほうほう。 な、中々興味深いような。 現在私は要君の部屋で漫画を借りて読んでいる。 紙媒体の本はほぼなく、大きい画面のタブレット(絵を描く用とは違う!)を使って読んでいる。 その為私が途中途中で漏らす感想に要君が合いの手を入れてくるのだ。 「そうか、首輪、うーん」 「メリバにするなら攻めキャラが闇落ちする展開が欲しいですね」 「闇落ち!でもなあ、弘君は闇落ちするかな。純粋な子だよ」 「純粋な性格だと、感情の振り幅が大きいですよ。すれ違わせれば展開としては難しくありません」 「そうかあ、要君やっぱりすごいね!物語の作り方もスラスラ出てくる」 「⋯⋯別に、ある程度小説や漫画を読んでいれば思いつくような事ですし」 「いやいや、読んでるだけじゃ出てこないって!作る側の経験を積まないとわからないよ。さすが神作家!」 「いや、神とか程遠いですから」 「私も要君には及ばないと思うけど、ラストが見えてきそうな気がしてきたよ!ありがとね、アドバイス」 先が見えてきた気がして鼻息荒くノートを読み返していると、要君は私をじっと見てきた。 「⋯⋯藤子さんは、何で彼をメス堕ちさせたいんですか?」 「⋯⋯聞く? 聞いたら信じる?」 「え、内容によってはまあ」 私は瑞樹との関係について語り始めた。後半はほぼアイツに対する愚痴になっていたし、友達出来にくい現状やその辛さについても語ってしまっていた。 「私だってね、友達とラーメン食べに行きたいの⋯⋯放課後も休日も街に出ると瑞樹がついてくるから、ラーメン食べたくても「そんな所女子が行くなよただでさえブスなのに」とか言ってさあ。同じカロリーならチーズティー飲んどけって!いらん!違うの!私はラーメン食べたいの‼」 「う、うん」 「分かる? あのこってりしたスープ、それを絡めた麺の喉越し!横浜家系にほうれん草と海苔トッピング追加でかっこみたいのに‼スープにお酢をちょっと足してね、ご飯と一緒にぐわってね」 訂正する。 終盤は主にラーメンについての愛だった。 「ラーメン、好きなんだね⋯⋯」 「好きなんてものじゃないよ、大好き。なのに滅多に食べられないの⋯⋯!あー腹立つ、やっぱアイツメス堕ちさせたい⋯⋯あ、ごめんねこんなに愚痴っちゃって」 「うん、大丈夫。あと藤子さんが何らかのハラスメント受けてるのは分かった」 「ほんと⁉ 分かってくれる?」 「うん。たまたま隣に住んでるだけの関係で、そこまで私生活に介入されたくはないよね⋯⋯しかも異性なのに」 「それーーーー!それだよ要君!言語化大事!」 「しかも写真で脅されてるんでしょ? そこに関しては犯罪じゃないのかな」 「あれねー⋯⋯恥ずかしいは恥ずかしいけど、別に好きにすれば? って思うんだよね。小さい頃に大泣きしてる写真とかさ、鼻に指つっこんでふざけてたのとかが大半だし」 「そっか。でもイラッと来るのは来るね」 「そうなの、分かってくれてありがとぉぉぉ!」 愚痴愚痴しているといつの間にか要君は敬語をやめていた。 ちょっと嬉しい。 「そういや葵ちゃん、遅いなあ」 「メッセージ確認してみたら?」 「⋯⋯あ、なんだ映画行ってたのか」 「道理で」 「じゃあ私も帰ろうかな!目的達したし、それ以上の収穫あったし」 「じゃあ送ってくよ」 「いやいや悪いよ」 「もう暗いから。俺も、もっとその、藤子さんと話したいし」 「え? まだ愚痴聞いてくれるの?」 「⋯⋯うん、ちょっと違う」 ※ ※ ※ てくてくと二人で歩いていると、話は自然と創作の方向に進んでいく。 「出会いからラストまでを時系列に並べるだけだと分からなくなるし、物語の山場まで遠いから読み手がダレるんだよね」 「確かに⋯⋯!でも私やってたそれ。どうやったら面白くなるかなあ」 「構成の話なんだけど、数ページ意味深な山場を見せて、そこに向かってどう物語が進んだかを回想録みたいな感じで描いていくと、短編としてまとまりやすいよ。描いてて楽しいし」 「そうかそうか、冒頭で読者の興味を引きつけておくんだね。はっ!もしかしてその時にラストの展開を匂わせておけば、約束されたハッピーエンドとかバッドエンドが分かる?」 「うん。ラストがハピエンかバドエンかは読者にとって凄く大事なことだし、安心して読めるっていうのが強みになる」 「でも、この先二人はどうなっちゃうの? みたいなハラハラ感は薄れるね⋯⋯」 「悩ましいところだけどね、どちらを取るかだよ」 創作についての要君の講義、すごく楽しい。何これ。 そして要君、天才過ぎない? 描き手としてもプロ目線じゃない? そうか、でも漫画を売ってるならもうプロだよね。 「⋯⋯藤子さん、凄いな」 「へ⁉ 凄いのは要君でしょ」 「飲み込みが早いし、きちんと自分の作品に昇華しようとしてるし。⋯⋯あと、基本的な文章をきちんと書けるのもすごい」 「それは⋯⋯国語教育の賜物では」 「意外といないんだよ、きちんと読める文章書ける人。主語と述語がちぐはぐだったり、何を言いたいか読めなかったり、熟語が間違ってたり無理に知らない言葉使おうとしたり」 「⋯⋯気をつけます」 何だろう、胸が痛い。 そんな目で私のノートを見ていたのだろうかと思うと今更ながらに冷や汗が出てきた。 「何よりね、読み手が読みやすい文を書こうとしてる」 「それは当然なのでは?」 「⋯⋯俺、入学してすぐ文芸部に入部したんだけど」 文芸部。 要君の本棚には純文学や恋愛漫画があったな。そっちの方が好きだったのか。 「そこでは創作文芸の冊子を作ってて、俺も書いてたんだ。でも今みたいに「読み手に分かりやすい話を」って言ってたら、総スカン食らっちゃって」 「何で⁉」 「読み手に迎合して大衆受けばっかり考えてたら自分の表現が出来ないだろうって。そこの部では、難解な表現や普段使わない言葉をどれだけ多く知ってるか、それらを小説に活かせるかがある種のステータスだった」 「えええ⋯⋯でも、本って読むものでしょ。読者の事考えてない本とか読みたくないと思うけどなあ。要君のアドバイス、建設的だと思うのに」 「そう言ってもらえると嬉しいけどね。彼らの物語に僕は必要なかったんだ」 うーん。現役プロ漫画家からの創作アドバイスなんてためになると思うんだけどなあ。 あ、でもその時は漫画描いてなかったのか。 「俺も、自分の書き方間違ってるって言われてムカッときて、でも俺の書いた小説より、他の奴らの方が明らかに評価されてさ。それで馬鹿にされて一回折れちゃって、学校行こうとすると熱出るようになったんだ」 「そうだったんだ⋯⋯」 「でも、俺の物語の作り方は多分漫画に合ってたんだと思う。SNSで好意的な感想もらって、俺は間違ってなかったって嬉しくなったし、どんどん漫画の方にのめり込んじゃった。ここだけはねえちゃんに感謝しないと」 「うんうん、葵ちゃんはすごい。あの行動力や強引さは人を救える」 そして要君もすごい。 一回心折れてもまた創作始めるだなんて、私に出来るだろうか。いや、できまい。 要君は見た目に反して(失礼)熱い男だ。 「⋯⋯藤子さんの小説、いいと思う」 「わあ、褒められた!ありがとうございます、神作家にそう言ってもらえると頑張れるなあ」 「だから神作家じゃないって。でもお世辞じゃないよ。言葉選びとか、リズムとか、世界観もすごくいい」 「べ、べた褒め⁉ やだなあそんな事言われたら照れるよ!」 「あはは、だから書き終えるの頑張ってね。俺、この話を漫画に描いてみたい」 要君はそう言ってノートを手渡してきた。 何だか顔が赤いのは、要君が珍しく笑っているからだろうか。 「うん、がんば────」 「お、これデスノート?」 私の手はノートを受け取れず、空を切った。 背後からは聞き慣れた、今は聞きたくないあの男の声がした。 ※ ※ ※ 瑞樹はにやにやしながらノートを高く掲げた。 「へえー、藤子にとうとう男?」 「ちょっとソレ返しなさいよ!」 瑞樹はノートをひらひらと振る。 くそ脇腹殴ればいいの? それとも刺せばいい? 「地味ブスと地味男のカップルって奴?」 「要君は彼氏じゃないから!何であんたここにいるのよ」 「どーでもいいじゃん。何書いてんだよコレ────」 瑞樹はノートをぱらぱらと捲った。 「『暴力的な男の象徴が宛がわれ』⋯⋯て、え?」 「あーーーーー!」 「『無理やり拓かれた花は次第に痛みから』」 「待って音読しないで!」 瑞樹ドン引きしてるわ。 いきなりそういう場面読むからだよ。 「ちょっと瑞樹やめてよ」 「何だよコレ、ホモ小説? うっわキモ、何書いてんだお前」 うっさいあんたの尻の話だよ!悪かったなキモくて! 「ねえ、萩原さん」 要君がいつの間にか瑞樹の背後に回り込んでいた。 要君のいつも前髪で目を隠しているのに、この時だけ目をちらっと見せた。 意外と涼しげで切れ長の目元。 「うおっ⁉ は、お前⋯⋯」 「⋯⋯⋯⋯、⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」 要君は瑞樹の肩に手をかけ、耳元で何かを囁いた。 待ってこのシチュエーションやばくない? 瑞樹は一気に顔を赤くしたり青くしたり忙しい様子を見せたあと、私を見て後退った。 「ちょ、ノート!」 「おま、俺にソイツ近付けんじゃねえぞ」 瑞樹はノートを私に投げつけると足早に去っていった。 要君はもう前髪を下ろして口元だけでにこにこ笑っている。 「何なの⋯⋯要君、アイツになに言ったの?」 「その小説で手酷く抱かれてる方、君をモデルに書いてあるんだって言ったんだ。ついでに彼のお尻撫でといた」 おうっふ。 何だか妖しい展開になってしまった。 「ちなみに要君はそっちの⋯⋯」 「俺はノーマルだからね、本当だよ!」 「分かった!分かってるから顔近いから!」 「あ、ごめん。⋯⋯でも」 「?」 「彼がそう勘違いしたらどうしようかなあ。お尻触っちゃったし」 「それは要君、意図的なものではありませんか」 どうしようかな、じゃないよね。 加えて言うなら、要君があの小説書いたって勘違いさせてたよね。 「もし俺が萩原君のお尻を狙ってると勘違いしたら、彼はきっと俺に近付かないよね」 む? 確かに。 「そうだね、そっちの人と思われてるなら⋯⋯」 「なら、俺の近くにいたらあの人寄ってこないんじゃない?」 んむ! た、確かに‼ 「要君⋯⋯天才過ぎる⋯⋯!」 「藤子さんは多分チョロすぎると思う」 「え、何が?」 「いいんだ、気にしないで。────それで、学校ではなるべく一緒にいない? ホラ、創作の話もしたいし」 「うん!葵ちゃんや亜希ちゃんも呼ぼうね!」 「そう来たかぁ」 ※ ※ ※ あれから要君とはかなり、急速に仲良くなった。 共通の趣味を語らえる友達という事もあり、瑞樹避けという事もあり、学校だけでなく休日も一緒に遊ぶ仲になった。 コミケにも初めて参戦したしね、なんと売り手で‼ 私の処女作は要君効果でそこそこ売れたし、コミケでは他のサークルさんを回って話が合う腐な友達も出来た。 創作活動楽しい! そして要君のコミカライズもいよいよだと言う。 待ち遠しい気持ちでいっぱいだ。 要先生、めっちゃ楽しみにしています。 「藤子さんお待たせ」 「要君!いやいや大丈夫だよー」 とある日曜日の昼下り、近所の公園の東屋で私と要君は待ち合わせをしていた。 あの小説がついに要君の手によって漫画となったのだ。 今日はそのお披露目だ。 「完成したら一番に見せたかったんだ。どうぞ」 「あああああありがとうございます‼」 要君が渡してきた一冊の本は、可愛い系腹黒男子弘君と俺様男子深月君の倒錯した愛の物語だ。 メリバエンド最高。 え? ピュア男子の弘君はどこ行ったって? まあキャラ変なんて創作の常ですよね。 しかし表紙からして最高。 要君天才過ぎる。 「⋯⋯あと、こんなのも書いたんだ」 要君は照れながらもう一冊出してきた。 「あれ、これは⋯⋯」 それは一冊の小説だった。 装丁もシンプルで、紙もどことなく粗雑な手触りだ。 「もしかして、コピー本?」 「うん」 「コピー本って手作りってことだよね? そういうのってもっと薄かったりするんじゃ⋯⋯よく作ったね」 「ネットで探せばいくらでも手作り本の作り方があるよ」 そ、そうなんだ。同人の世界、恐るべし。 私の手に乗っているのは文庫本サイズの、厚さ5センチはあろうかという本だった。 『藤花の咲く丘に』 薄紫色の花に彩られたタイトルが、静かで淡い恋物語を予感させる。 「ある人をモデルに書いたんだ」 「そうなんだ!私の知ってる人?」 「多分、よく知ってると思うよ」 要君は照れながら笑った。 「それ、貰ってくれないかな」 「えええ⁉ 神作家のっ⋯⋯!貴重なお手製本を私に⁉」 「だから何度も言うけど、神作家じゃないと思うんだけどなあ」 「葵ちゃんが言ってた。神かどうかは自分の心が決めるって」 「ねえちゃん⋯⋯」 私はぱらぱらとページを捲った。 おお、二段構成。 挿絵もある⋯⋯ですと⋯⋯⁉ 「これ本当にコピー本⁉」 「うん。流石に作るの手間だったから二冊しか作ってないよ」 「そんな貴重なもの、本当にもらっていいの⁉」 「⋯⋯藤子さんに、読んでもらいたいんだ」 要君はそう言って、私の耳にこそっと話しかけた。 「感想、絶対に聞かせてね」 そのこそばゆさに、私の心臓は大きく跳ねてしまった。 ※ ※ ※ 「これに何を言えとっ⋯⋯!」 要君のお手製希少本は恋愛小説と思いきや。 幼馴染のモラハラに耐える主人公が何とか逃げ出したと思ったら、とある漫画家に囲われるドロドロなサスペンスだ。 主人公の名前、トーカだし。 私の名前と一文字違いだし。 漫画家の名前こそカナメじゃないけど、家族構成とか見ると完全に要君だし。 一番感想を言いにくいのは、漫画家が明らかに主人公のトーカに思いを寄せている癖に手を出してこない点だ。 トーカはトーカは鈍いから、漫画家の行動を友情や親切だと思ってる。 これが完全に創作キャラだったら「いいぞもっとやれ」とか「押し倒しちゃって!」とか勝手な事言えるのに。 もう一度言おう。 これにどんな感想を言えばいいんだ。 私は顔を赤くしながら、生まれて初めて作者の気持ちを真剣に考える事となった。
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