<モテオトコ☆コウリン>

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<モテオトコ☆コウリン>

いつものカフェ 違っていたのは、何故かスタンディングオベーションで拍手されていたことだ。 わたしがチケットを行使しなかったことだろうか?いや、あの時は多分自分は違う次元にはまり込んでいたと思う。 と、言うことは 「スッキリした!実は話しが聴こえていてムカムカしてたの」 「あんなクズ、早く気づいてよかったね」 と、女性の客が口々に私に声をかけてきて悲劇のヒロインのはずが、喜劇のヒロインのようになっていた。 あの時チケットを使っていたらこんな爽快感は得られなかったかも、本当なら今夜は泣いて夜を明かしたかもしれなかったが、むしろよく眠れたことで清々しい朝を迎えることが出来た。 いつも以上に元気に出勤すると部内は少しざわついていた。 隣の席の子にどうしたのか聞いてみると本社から移動してくる人物がいるとのこと。 本社からこの支社へ移動と言うのは大まかに三つのパターンがあり、本人希望の移動願いによるもの、何かしらの失態による移動いわゆる左遷だが左遷でこの支社への移動はごく稀で、むしろその反対の三つ目の理由である修行のための移動だ。 ここで2〜3年修行した後、幹部候補として本社に戻るというもの。 どうやらその人物は三つめのパターンらしい。 そもそも男運の無い私にはなんとか部のエースだとか次期なんとか候補とか縁がないので情報もシャットアウトしていた。 部長とともにフロアーに入ってきたのは高身長だがひょろっとした感じではなく肩幅の広い細マッチョ形のイケメンだった。 その時点でもう私の視界には霧がかかり視界からきえる。 関係ないし このままいけば出世街道まっしぐらの佐藤だか加藤だかに女性陣は群がっていた。 時々この男からの視線を感じる。決して自惚れではなく明らかにこちらを見ているが、この俺に興味がないなんてって感じだろうか。  将来有望イケメンくそくらえだ! そんなこんなで迎えた金曜日、部内で佐藤だか加藤だかの(今だちゃんと名前を覚えていない)歓迎会の為に居酒屋にやってきた。
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