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「なぁ凜子、今日こそは一緒に入ろうぜ?」
初体験のあの日。
ホテル『ル・ラパン・エレ』の一室で、私はあれよあれよと言ううちに奏芽さんとお風呂に入ってしまった。
奏芽さん的には1度入ったことがあるのだから2度も3度も変わらないだろ?らしいのだけれど、私はやっぱり恥ずかしくて。
あの日以来、「一緒に入ろうぜ?」・「でも」の応酬がずっと続いています。
「あ、あのっ、今は……まだ」
慣れていないので、と言う言葉を私は寸でで飲み込んだ。
だってそんなことを言おうものならきっと。
「まだ慣れてねぇなら回数こなして慣れていこうぜ。な?」
最後まで言わなくても分かっちゃうとか。察しが良すぎます、奏芽さんっ。
「お風呂から上がったら……べ、ベッドには……ちゃんと行きます、ので……」
脱衣所の前。
扉から手を離してくれない奏芽さんを見上げながら小声でポツンとつぶやいたらニヤリとされた。
「その前に俺を呼べよ?」
その言葉の裏に含まれた意味を、私はちゃんと知っている。
あの日以来変わったこと。
今まで別々に眠っていたのを、私、奏芽さんの部屋で一緒のベッドで眠るようになりました。
もちろん、一緒に布団に入れば寝るだけ、では済まないことの方が多いのだけれど、その行為自体は愛されていると思えるから私、嫌いじゃ、ない。
そうしてもうひとつ――。
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