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「でも奏芽さん、さっき、お友達にすぐに行くって連絡してなかったですか?」
着替えさせてもらえるなら嬉しい。
出来たらもう少しお洒落して奏芽さんにほんのちょっとでも可愛いと思われたい。
でも……私のわがままで誰かに迷惑をかけるのはダメだ。
「ああ。でもまぁ、凜子が着替えてどうこうの時間ぐらい誤差の範囲内だと思うぜ? 気にしなくていい。――店自体ここからなら車で5分とかからねぇし……」
言いながら、「けど、それでも凜子は気にするんだろ?」って笑うの。
ヤダ、何で分かるの……。
奏芽さんからの予期せぬ言葉に私は思わず身じろいだ。
「図星?」
途端、奏芽さんにニヤリとされて、何だか恥ずかしくなってうつむいた。
いつも周りから四角四面で面白みがないって言われ続けてきたこの性格。
奏芽さんにも呆れられてしまったんじゃないだろうか。
消えてしまいたいようないたたまれない気持ちになった私に、
「俺、凜子のそう言うところ、気に入ってんだよ」
自分は自由奔放で勝手気ままな人間だから、人を自然に気遣える生真面目なところに惹かれるのだと言われた。
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