私、どうしようもなく奏芽さんが

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 玄関の扉を開けながら、道路に停まる奏芽(かなめ)さんの車をちらっと振り返ったら、車内から手を上げるのが見えて。  その仕草に、私は慌てて会釈をして室内に飛び込んだ。  不思議なくらい、彼の何でもない仕草にいちいちドキドキしてしまう。  こんなの、のぶちゃんに憧れていたときにはなかったことだ。  私がのぶちゃんを好きだと思っていた気持ちは、奏芽さんのことを思うそれとはやっぱり違う気がしてしまう。  のぶちゃんへのアレは……男性に向けた恋慕というよりお兄ちゃんへ向けた思慕に近かったのかな?  奏芽さんのことはいちいち異性として意識してしまうけれど、のぶちゃんに対してもそうだったか?と考えてみると違和感があって。  って……今はそんなことを考えている場合じゃなくっ!  サッとシャワーを浴びる時間ぐらいはあるかな。髪の毛は濡らさないようにするとして。  暑い中、うろうろした身体は、それなりにベタベタとして、気持ち悪くて。 (奏芽さん、お待たせしてるのにごめんなさいっ!)  そんなことを思いながらササッと裸になって、三つ編みをバレッタでアップにしてシャワーを浴びた。    タオルドライ後の身体に、ネイビーのノースリーブワンピースをまとう。  ハイウェストになっていて、襟元はVネックのロングスカート。  二の腕が剥き出しなので、薄手の七部袖のベージュカーディガンを合わせて、露出を抑え目に。  姿見の前に立って、少しは奏芽さんの横に立つに相応しい、大人っぽい女性に見えるかな?とドキドキする。
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