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「向井さん、今、すっごく良い顔して笑ってたよ! めっちゃ可愛かった!」
いつもそんな風にしてたら、絶対たくさんお友達できるからね!
そう付け足してくれた片山さんに、私は「有難う」って答えて、小さく会釈をする。
「もぉ〜。私、結構たくさん話しかけてるつもりなんだけどなぁ〜。そのなかなか距離感が縮まらない感じ! 野良猫を手懐けてるみたいでたまらないんだけど!」
にゃはは、と笑われて、私は思わず吹き出してしまった。
野良猫って。
「ん、良い笑顔。あ、私、同じクラスの片山四季。――って、知ってるか」
話しかけてくるたび自己紹介をしてくれる彼女に、「さすがに覚えますよ」って返したら、「それもそっか」って笑われた。
「で、これも何度も言ってるんだけど! 同級生なんだし、敬語は要らないよ? そうだ! 向井さんって呼んでるからダメなのか! “向井”ってあなた個人の名前じゃないじゃない? 下の名前教えてもらえるかな? 私のことも下の名前で呼んでもらえたら嬉しいし!」
矢継ぎ早に告げられて、彼女はもしや女の子バージョンの奏芽さんなのでは?と既視感を覚えてしまった。
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