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「えっと……凜子。向井、凜子です」
今まで話せなかったのが嘘みたいに、同級生相手にスッと名前を言えたのに、自分自身驚いた。
「ん、凜子ちゃんね! 了解! あ、私の名前は――」
「四季さん、でしょ?」
さっきも言ったけど、何度も自己紹介されてるしね、ちゃんと覚えてるよ?
そう思いながら先んじて彼女の名を呼んだら、「固い! 固すぎですよ、凜子さん! 四季、でいいから。四季さん、とかむず痒くなるからやめて〜」って肩をバシバシ叩かれてしまった。
距離を一気に削って、一息に懐に入ってくるところ。本当、とっても奏芽さんっぽい。
「……分かった。じゃあ、えっと……四季、ちゃん?」
恐る恐る言い直したら「う〜ん。まだ若干固いけど、最初だし妥協しとく!」ってにっこりされた。
「ね、凜子ちゃん、ズバッと聞いていい?」
ホッとしたのも束の間、いきなりじっと目を見つめられてドキッとする。
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