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「あ、えっと……あの……」
何て返したらいいか分からないけれど、だんまりは良くない気がして、結果1人空回り。
そんな私に四季ちゃんがクスクス笑う。
「もぉ、凜子ちゃん、最高! 反応が可愛くてたまんない!」
四季ちゃんがそこまで言ったところで、彼女の鞄のなかのスマホが着信を告げた。
「あ、ごめん。噂をすれば、だ! 彼氏が迎えに来たから今日はとりあえず帰るね。――また話そうね!」
一気にそうまくし立てて、まるで台風みたいに走り去っていく四季ちゃんを見送りながら、私はホォッと溜め息をつく。
***
自分が手にしたままだったスマホに気付いて画面を見て、あ、そういえば……と焦る。
奏芽さんからのメッセージ、既読をつけたまま返信してない。
『分かりました。
今全講義が終わったところなので、これから帰ります。
お買い物とかして帰るので直帰ではないですけど、帰宅したらまたメッセージ、残しますね』
そこまで打ち込んで送信ボタンを押したらすぐに既読がついた。
奏芽さん、ミーティング中なんじゃないの?
そんなことを思って、ひとり苦笑してしまう。
時刻は十八時。
今日はこの後、一時間足らずでのぶちゃんと会う予定。
結局奏芽さんにはそのこと、言えず終いになっているけど、問題ないよ、ね?
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