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そう思って、キッチンに出したままだった食材を冷蔵庫にしまうと、私はいつでもすぐ出かけられるように、靴を履いて、玄関先に腰掛けた。
お金はかかるけど……場所によってはタクシーを使うのも躊躇ったりしない。
***
と、程なくしてのぶちゃんから電話がかかってきて――。
『凜ちゃん? ――今、アパートだよね?』
もしもし?と応答すると同時に、のぶちゃんから急き立てられるみたいに一気にそう尋ねられて、気圧されてしまう。
「えっ? あ、うん……っ」
思わず押され気味にそう答えたら、『電気付いてるから大丈夫だとは思ったけど、良かった! 家にいてくれて……』って、え?
今、のぶちゃん、何て?
「のぶちゃん今……」
聞き返そうとしたら、チャイムが鳴ってビクッとさせられる――。
こんな時間になんだろうって思ったら『凜ちゃん、チャイム鳴らしたの、僕』って電話から声がしてきて。
「え? のぶちゃん?」
にわかには信じられなくて、インターホンのスイッチを押して確認したら、モニターには確かにのぶちゃんの姿があった。
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