*余裕なんてあると本気で思ってんの?

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 そこに触れて、自分を(なぐさ)めたこともない私は、自分の身体がこんなにふしだらな反応をするなんて、思いもしなくて。  下に触れられたわけでもないのに、そこが(みだ)らな状態になってしまったことが、たまらなく恥ずかしかった。  そうして、そうなってしまったことを、奏芽(かなめ)さんには気付かれたくないって思ったの。 「や、……ぁっ」  あまりにも情報量が多すぎて、息をつぐのすら忘れそうになって、ぼんやりとしてきたところで、奏芽さんがやっと唇を離してくれる。  身体に密着した奏芽さんの下腹部に固く張り詰めた男性(ねつ)を感じた私は、自分の秘部が濡れてしまったのは、奏芽さんのそういう雰囲気に反応しているからだと気が付いて、一気に恥ずかしくなる。  こんな〝男〟の顔をした奏芽(かなめ)さんを、私は知らないっ。 「かな、めさんっ、こんなの……ヤ、ですっ。お願、やめ……っ」  涙目で彼を見上げたら、掴まれた二の腕にギュッと力が込められた。 「()っ」  それが痛くて眉をしかめたら、慌てて力を緩められて。 「――くそっ! 俺、何してんだよっ!」  って……奏芽(かなめ)、さん?  奏芽(かなめ)さんのこんな辛そうな表情(かお)、私、初めて見た。  いつも自信家で、自分がやることは絶対なのだというオーラを放っている奏芽さんが……。  こんなに苦しそうに唇を噛むなんて――。
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