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「あー、ごめん、向井さん、確かにこれは思いっきり邪推だったね。――けど……ほら、向井さんの彼氏さん。えっと鳥飼さんだっけ? 彼、元々うちの常連さんじゃん? だからさ、その……今までの女性遍歴とか知ってる身としては、どうしてもそういう奥手な感じがピンと来なくて。向井さん、遊ばれてるんじゃないかとか心配してたんだ」
う……。それを言われてしまうと私はなにも言えなくなってしまう。
黙り込んでしまった私に、谷本くんが、「だからさ、今回それ聞いて――向井さんとのことは本気なのかな?って思っちゃって……。だとしたら俺なんかには――」
そこまで言って慌てて口をつぐむ谷本くんに、何だろう?と思いながらも、気がつけば私は奏芽さんのことに思いを馳せてしまっていた。
私だって、奏芽さんとの初見は派手目の女性連れの時で……しかも買おうとしていたのがヒ……避妊、具でっ。
ふと初対面の時の買い物カゴの中身を思い出して、私はにわかに赤面してしまった。
でもそれと同時にすごく不安になったの。
奏芽さん、私とじゃなければ“そういういこと”してたってことだもんね?
「あ、あの……谷本くん。その……男の人が彼女に手を出さないのって……やっぱり変、だったり……しますか?」
恐る恐る聞いたら、途端ドギマギされてしまった。
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