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「ちょっ、向井さんっ。無意識かもしれないけど……そんな艶めいた目でこっち見ないでくれる? 心臓バクバクして身が持たなくなりそう!」
慌ててそっぽを向かれて、私は驚いてしまう。
艶めいた? え? 誰が?
「その――さっきの質問だけど……変じゃないとは言わないよ。健全な男なら好きな女の子前にして抱きたいと思わないとかないだろうし。けど……向井さんのそういう色っぽい表情を見ても何もしてこないんだとしたら……君の彼氏は相当忍耐力があると……思う。――でなきゃ、EDだ」
「いっ!?」
ついでのように付け加えらえた言葉に、私は思わず瞳を見開いてしまった。
「ま、向井さんの彼は多分前者だと思うよ」
谷本くんは硬直した私をほぐすように「ほら、あの人、ゴム、よく買ってたし不能ってことは……」と何でもないことのように言って、ハッとしたように「ごめん」って視線をそらすの。
***
「――で、向井さん、誕生日いつ?」
場の空気を切り替えるように不意に問われて、「し、4月です」って答えたら、「あと3ヶ月か。結構長いね」って言われた。
うん、長い、……よね。きっと。
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