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奏芽さんは付き合い始めてすぐ、「説得力ねぇかも知んねーけど、凜子が10代の間は俺、手ぇ出すつもりねぇから」って、改めて宣言して――。
キスだってあんな大人のキスをされたのは付き合うことになったあの日――奏芽さんがのぶちゃんに嫉妬した時だけ。
私はあれからずっと、あの日のことを思い出すたびに身体が熱を帯びてしんどいのに……。
奏芽さんは……平気なの?
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クリスマスも、一緒に“あまみや”の個室でディナーを食べて、そのあと初めて奏芽さんのお家にお泊まりにだって行ったのに……。
奏芽さんは私をずっとひざの間に座らせて後ろから抱きしめるだけで何にもしてこなかったの。
「あ、あのっ」
私の方が我慢できなくなって、思わず後方の奏芽さんを振り仰いだら、「そうだ凜子。ピアノ弾いてやるよ」ってスッとかわされてしまった。
そこからは奏芽さんのマンションの防音室で、彼が弾くクリスマスの定番ソングや、賛美歌などを何曲か聴いて。
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