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「あっ、後ろから急に声掛けてごめんなさい。霧島音芽です。鳥飼奏芽の妹の」
前に一度お会いしましたよね?と言われるまでもなく、彼女――音芽さん――のことは私も覚えている。
見た目から、奏芽さんの血縁者なことは容易に推測できる、でも奏芽さんとは全く身に纏う趣の違う妹さん。
それに、何より私、音芽さんの横に立つ女の子とも面識があるの。その少女のことは、ある意味音芽さんより印象に残っているかもしれないくらいで。
「奏芽がどうしてもって言うから、和音、あなたの事、見つけるお手伝いに来てあげたのよ。パパはお姉さんとは会ったことないし、ママもぼんやりしててあてにならないところがあるから」
ツンとした様子で私を睨みつけてくるその女の子。うん。私も彼女のことはよく覚えてる。奏芽さんの姪っ子の和音ちゃんだ。
そっか。音芽さんと和音ちゃんが一緒だから……。だからハルさんには私が分かるって。
奏芽さん、最初からそう言ってくれればいいのに「ハルたちが迎えに行くから」としか言ってくれなかったから。
単純に考えたら「たち」に奥様やお嬢さんが含まれているのは容易に推測ができたはずなのに、私の頭はパニックでうまく回っていなかったのかな。
私、ハルさんと音芽さんが夫婦だということは知っていて、そのお嬢さんが奏芽さんの姪っ子の和音ちゃんだということも知っていたはずなのに、頭の中で全然それが繋がっていなかった。
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