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霧島ご夫妻の様子に、助手席への扉を開けたままフリーズしてしまった私を助けてくれたのは、1人先に運転席後ろでジュニアシートに収まっていた和音ちゃんだった。
「パパもママもいい加減にしてよ。お姉さん、困ってるじゃない! ママ、さっさと助手席に座って! パパはママに謝る! お姉さんは私の隣ね」
ポンポンと、自分の隣――助手席後ろのシート――を叩いて誘導してくれる和音ちゃんに、私は甘えさえてもらうことにする。
「後ろで奏芽のこと、話しましょ」
言って、和音ちゃんがニコッと笑う。
初めて会った時はあんなに奏芽さんに似ていると思った彼女のその顔は、こうしてご両親の顔を知った今となってはどう見ても音芽さんと温和さんに似てるとしか思えなくて、紛れもなくおふたりのお子さんなんだと実感する。
ホッと胸を撫で下ろした私に、「私が、パパとママに似ていて安心した?」って和音ちゃんが問うてきてドキッとした。
この鋭さ。
こういうところは奏芽さんに凄く似てる。
私が後部シートに座ったことで、音芽さんが渋々といった顔で助手席に収まって。
それでもさっきの温和さんの言葉が許せないのかそっぽを向いたまま。
和音ちゃんは慣れっこなのか、気にした風はなくて。
私はこんな大きなお子さんがいるのに、未だ恋人のようにラブラブに見えるおふたりのことがちょっぴり羨ましくなった。
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