お互いのスマホに

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 絞り出すようなその声が切なくて苦しくて。  私、大好きな奏芽(かなめ)さんにこんな声を出させてしまうことの方が、自分が昼間に感じた恐怖より数倍辛く感じられた。 「だっ、大丈夫です。夕方も霧島(きりしま)さんご家族にここまで送っていただきましたし、バイト中も谷本くんがずっと気遣ってくれて1人にはなりませんでした」  努めて明るい声音でそう答えたら、奏芽さんが、 「ずっと付いててやれなくてごめんな」  って言うの。  私は彼の言葉に正直驚いてしまった。 「そ、そんなの当たり前じゃないですか。奏芽さんには奏芽さんの生活があるんですから」  これは本当の話。  だってそうでしょう?  私のために、もし奏芽さんがお仕事に穴とか開けてしまったら、彼のことを頼りにしている子供達が困ってしまうもの。 「――それでも! ……俺、好きな女も自分で守れないってのがさ、すげぇ嫌なんだよ」  いつになく奏芽さんが弱気な気がして。  耳元でつぶやかれた声が、私の胸をギュッと締め付けてくる。
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