お互いのスマホに

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「なぁ凜子(りんこ)。嫌だったら断ってくれて全然構わねぇんだけど……。その……凜子のスマホに……追跡アプリとか入れても……いいか?」  ややしてぽつんと落とされた言葉に、私はキョトンとする。 「追跡、アプリ?」  聞き返すと、奏芽(かなめ)さんはとても言いにくそうに視線を私から一瞬そらせて……それでも意を決したみたいに続けるの。 「昔、親父が妹を心配して音芽(おとめ)のスマホに入れてたことがあったの思い出してさ。あー。……けど、やっぱ気持ち悪いよな」  私は奏芽さんの言葉を、しばし自分の中で整理する。 「それを使えば私の位置情報が奏芽さんに分かるってことですか?」  聞くと、「ああ。けど、凜子のだけ一方的に、ってのは不公平だと思うから……お互いの位置情報が確認できるやつにしようと思ってんだけど」って言って。 「奏芽さんのも?」  その言葉に驚いて思わず聞いたら「イヤか?」って不安そうな顔をするの。
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