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奏芽さんが見せてくれた画面には、グループメンバーの居場所が地図上に表示される、GPS機能と連動したアプリが表示されていて。
私、別に奏芽さんにリアルタイムで居場所が知られたからといって、嫌なことも困ることも何にもない。
基本的に1人の時は車に乗れるわけでもないし、アパートを起点に大学とバイト先、それからお買い物ぐらいしか移動がないから、逆に動きが乏しくてがっかりさせてしまうかも?って思うくらい。
「私の方は全然構わないです。……でも、奏芽さんはイヤじゃないですか?」
私からも奏芽さんの位置が確認できてしまうとか……。綱をつけられてしまうみたいで、大人の男性である奏芽さんはお嫌じゃないかしら。
思うけれど、奏芽さんは私の頭をぽんぽんと軽く撫でてから「問題ねぇよ」って言うの。
私は奏芽さんが私のためにそこまで考えてくれていることがとても嬉しくて……。
奏芽さんのスマホに自分の位置情報が表示されることを、彼に見守られているみたいで心強いなって思ったの。
「喜んでお願いします!」
ニコッと笑ってスマホを差し出したら、「じゃ、一旦俺ん家行くか」って言われて。
その言葉にキョトンとしたら、「ほら。アプリのダウンロードしなきゃいけねぇから。Wi-Fiがあったほうがいいだろ?」って。
コンビニにもフリーWi-Fiはあるけれど、重いし安全性を考えるとやはり自宅の方が確実だろうって奏芽さんが言うの。
ちなみに私の家にもWi-Fiはあるけれど、工事不要のモバイルルーターで、容量制限付きなのをご存知だから、奏芽さんはきっとご自分のお家を指定されたんだと思う。
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