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私が貧乏学生で、通信費とか割と気にしているの、ちゃんと覚えていてくださったんだって思ったら……恥ずかしいけど嬉しいなとも思ったの。
「み、みみっちくてすみません」
それでもやっぱり一応気になってそう言ったら、「そういうのはみみっちいとは言わねぇんだよ、凜子。堅実って言うんだ」
ってニヤリと笑って。
「俺がそういうのに割とチャランポランだから……凜子と一緒にいると大事なことに気付かされるし、身につまされる気がするんだわ」
って言ってくれるの。
「俺さ、いずれは親父の小児科継ぐことになるんだけど……。そういう、何てぇの? 締めるところは締める、みたいなバランス感覚って経営者としてすげぇ大事だなって思うわけ」
そういう感覚は一朝一夕で身につくものではないし、日々の暮らしの中でさり気なく発揮できるのはとても素晴らしいスキルだと思うぞ、と奏芽さんが褒めてくださった。
「凜子はさ、料理もうまいし、色々始末つけるのが上手だ。ホントいい嫁さんになると思うぜ?」
ふと付け加えるように何気なく言われた言葉に、私はドキッとしてすぐそばの奏芽さんを見上げる。
「あの……」
ソワソワと言葉をつむごうとしたら、奏芽さんが唇に人差し指を当てて止めるの。
「この先は折りを見て俺から、な?」
って。
奏芽さんの未来予想図には、私の居場所がありますか?
聞きたいけれど怖くて聞けなくて……私は無言で奏芽さんの横顔を見つめ続けた。
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