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「ごめんね」
思わず謝ったら「バカね。友達だからって何でもかんでも話さなくていいの。言いたくなったら話してくれるんで構わないからね?」とにっこり笑ってくれる。
「でも――」
そこで私の手をギュッと握ると、「無理だけはしないで?」って真剣な顔を向けてくるの。
私は四季ちゃんの言葉に思わず鼻の奥がツンとして、慌ててまばたきの回数を減らした。
「四季ちゃん、いつもありがとう」
私は人付き合いが上手い方じゃない。ましてや同年代のお友達なんてほとんどできたことがないから、四季ちゃんと話していると目から鱗なことが沢山あって。
四季ちゃんみたいな人ばかりではないと分かっているから余計に、四季ちゃんがお友達になってくれて良かったと心の底から思った。
***
2月になり、例のお家も新しい住人が大分家の整備を済ませたみたい。
生い茂ったまま立ち枯れていた草も刈り取られ、庭木も綺麗に剪定されていて。
家の中にも業者さんが出入りしたりしていたので、パッと見――外観は変わらないけれど内装はかなりいじったのかもしれない。
ただ、どうも住人のかたとは生活時間帯がズレているのか、数週間が経過した今も、1度もお会いしたことがなくて。
男性が越してきたのか女性が越してきたのかすら分からないまま。
だからといって、同じアパートの住人というわけでもないし、うちのアパートから優に数百メートルは離れているので、そんなに気にすることでもないなって思った。
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