ル・ラパン・エレ

23/45
前へ
/615ページ
次へ
 そんな中から私はシャルロットという、「ふわふわのビスキュイの中に甘酸っぱいいちごのムースが入っている」と説明書きされていたものを選んだ。  上にナパージュされてツヤツヤにきらめくフルーツがたくさんトッピングされていて、宝石みたいに綺麗ですごく可愛かったのが決め手。  奏芽(かなめ)さんはサヴァランという、洋酒が生地に染み込んだものを選んで。  ショーケースのなか、サヴァランの説明には「ラム酒の豊潤な香りが癖になる一品です」と書かれていた。  洋酒たっぷりというのが、大人な感じがして奏芽さんにぴったりで素敵だなって思ってから、そういえば今日から私も成人(おとな)の仲間入りなんだって今更のようにハッとした。  二十歳(はたち)を過ぎたらお酒、飲んでも(とが)められない……んだよ、ね?  夕飯の時に、緊張を(やわ)らげるのにお酒をほんの少し飲んでみたいですって言ったら、奏芽さんは何ておっしゃるかな。
/615ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1547人が本棚に入れています
本棚に追加